石垣の向こうには、新しい風車が見えます。





階段の下にニルスがいたりして……?




ニルスの不思議な旅・エーランド島南端の灯台です。
エーランド島南端の灯台です。

ニルスの不思議な旅・灯台のまわりの羊や馬
灯台のまわりには、羊や牛がいました。

ニルスの不思議な旅・灯台の下のオブジェ
灯台の足元には、こんなオブジェが……!



海洋博物館の外
カール11世像です。意外とハンサム……?


カール11世の彫像
海洋博物館の外です。
気持ちのいい風が吹いていました。





伝説のマグレ岩
伝説のマグレ岩。この下にトロルが……?




美しいトロッレ・リュングビー城です。
美しいトロッレ・リュングビー城です。







ビュッリンゲクロステル城です。




ドブネズミが攻め入るグリミンゲ城です。
ニルスの活躍はいかに……。





西ヴェメンヘーイ丘の風景です。
左端の三角屋根が教会。




ニルスのお父さんとお母さんは、
家から歩いてこの教会へきていました。

『ニルスのふしぎな旅』を訳して
 ~翻訳こぼれ話~ その6

エーランド島の続き


オッテンビーの王領地の北側、一般の土地との境に続くのが、左の写真の石垣です。この石垣は、領地内の鹿が一般の人の土地を荒らすのを防ぐために、国王カール10世により、1653年に作られました。


ニルスの物語では、この石垣の陰で、モルテンがハイイロガンのドゥンフィンと出会ったという設定になっています。恋に落ちたモルテンは、ニルスにうそをついてまでドゥンフィンを助けようとします。一方、ガンたちと旅をするようになってから、ニルスはいろいろと人助けをしてきましたが、この場面では初めて純粋に、自分の利益とは関係なく、この傷ついたハイイロガンを助けたいと思います。ドゥンフィンにモルテンをとられるのではないかと、やきもちさえ妬いていたニルスの心が、一瞬にして変化を遂げる実にいい場面です。


ところで、風の強いエーランド島では、昔から風車が活躍してきました。最近では、木造の古い風車にかわって、近代的な白い風車がふえているようです。「エーランド島は大昔、大きな蝶だった」という老羊飼いの話をニルスが立ち聞きするのは、風車の階段の下でした。今でも島のところどころで古い風車を見かけますが、壊れかけているものも少なくなく、左の風車は羽の部分がもうなくなっていました。(2008年5月3日)




       

『ニルスのふしぎな旅』を訳して   ~翻訳こぼれ話~ その5

エーランド島


カールスクローナを出発したアッカたち一行が、キツネのスミッレをまくために迂回したのが、バルト海の島エーランド島です。島といっても、今では本土のカルマルと橋でつながっているので、私たち人間にとっては、車さえあれば行き来は簡単といえるでしょう。


南北に細長い島の南端には、オッテンビーと呼ばれる王室の領地があります。その領地の最南端であり、エーランド島の最南端でもある岬には、〈のっぽのヤン〉と呼ばれる、スウェーデンでいちばん高い、高さ約42メートルの灯台が立っています。


最初に灯台が建てられたのは1785年ですが、その後、何度か建て直され、1948年には電気化されて現在に至っています。


灯台の展望台へは197段の螺旋階段を使って、のぼることができます。もちろん、私も頑張ってのぼりましたよ(ちょっと膝がガクガク、目がまわりそうになりましたが……)。でも、のぼってよかった! 上からの眺めは、本当に素晴らしいものでした。南にひろがるバルト海も、灯台のまわりでのどかに草をはむ羊や牛の姿も、北にのびていくエーランド島の東西の海岸線も、ゆっくり眺めることができました。


灯台の足元には、『ニルス』の物語の中でもふれられている大砲のほかに、左のようなオブジェが置いてありました。ニルスの足跡をたずねる一人旅の身の上としては、なつかしい旅仲間に出会えたようで、なんともうれしかったです。


いつかまた、オッテンビーを訪れてみたいです。
                    (2008年1月16日)









       

『ニルスのふしぎな旅』を訳して
 ~翻訳こぼれ話~ その4

カールスクローナ


ユネスコの世界遺産にもなっているカールスクローナは、軍港の町。その基礎を築いたのは、17世紀の王様カール11世で、左の銅像の方です。北欧でいちばん広いとされるこの〈大広場〉におりたったニルスがからかい、怒らせてしまう銅像です。


銅像はニルスを追って、真夜中のカールスクローナの町を歩きだします。こわくなったニルスは、必死になって逃げようとしますが……。危ういところでニルスを助けてくれたのは、提督教会の前に立つ木像ローゼンボムでした(ローゼンボムの写真は、トップページのMini Galleryでご紹介しています)。こうして、銅像のカール11世と木像のローゼンボムのやりとりが始まります。


作者ラーゲルレーヴは二人のコミカルな会話の中に、カールスクローナの歴史や、海戦や造船に関わった人たちの偉大さを織り交ぜて描いています。訳していて、「本当にうまいなあ」と、しみじみ感じた場面です。


海洋博物館では、作品の中でニルスも感動する船首像をはじめ、船に関する様々な資料が展示されていて、とても参考になりました。 (2007年11月19日)





       

『ニルスのふしぎな旅』を訳して
 ~翻訳こぼれ話~ その3

〈マグレ岩〉と角笛の伝説


ニルスはガンたちとの旅を続け、9章では軍港の町カールスクローナへやってきます。暗い夜空から町を見おろしたニルスは、はじめ、それがなにかわかりません。ふと〈マグレ岩〉の伝説を思いだし、いま下に見えている怪しげな景色も、〈マグレ岩〉みたいなものだろうかと考えてしまうのです。


さて、その〈マグレ岩〉は、ブレーキンゲ地方との境に近いスコーネ地方にあります。伝説によれば、この岩の下にトロルが住んでいて、年に一度、クリスマスイヴになると、ごちそうを要求するために、金の柱に支えられているこの岩を持ちあげるのだそうです。


〈マグレ岩〉から程近いトロッレ・リュングビー城には、トロルから手に入れたとされる角笛(杯になる)と笛(両側から吹ける)がのこっており、夏の間だけ中庭に面した窓に飾られて、一般の人でも見られるようになっています。もちろん、私も窓にはりつくようにして、中をのぞいてみました。写真も撮ったのですが、ガラス越しだったので、反射してしまって、あまりうまく撮れませんでした。うーん、残念。それでもともかく、伝説の宝物を実際に目にすることができ、立ち寄ってみて本当によかったと思いました。なによりも、この城は濠に囲まれた、とても美しい、趣のある館でしたから。

                    (2007年9月19日)




       

『ニルスのふしぎな旅』を訳して
 ~翻訳こぼれ話~ その2

スコーネ地方は古城の宝庫


ニルスの故郷、南スウェーデンのスコーネ地方には、由緒ある古城や貴族の館が数多くのこっており、『ニルスのふしぎな旅』の中にも、そのうちのいくつかが出てきます。たとえば、トップページの写真でご紹介しているヴィットシェヴレ城は、3章野鳥の暮らしで、ガチョウのモルテンが子どもたちに捕まって、連れていかれたお城です。ニルスはひょんなことから、国民高等学校の生徒たちといっしょに城の内部を見学する羽目になり、先生の説明を長々と聞かざるをえなくなります。このお城は、現在も個人所有となっています。


左上の写真は、ニルスが1章で上空を通過するビュッリンゲクロステル城です。もともとは12世紀にカトリックの修道院として基礎が築かれましたが、その後紆余曲折を経て、17世紀に建て直されました。このお城にも今も人が住んでおり、中には入れません。


そして、左の写真が4章でネズミ退治の舞台となるグリミンゲ城です。グリミンゲ城についても、3章のヴィットシェヴレ城の場面で、引率の先生が建物の特徴を簡単に説明しています。ここは一般公開されており、見学が可能です。私は土産物屋さんで、記念にクマネズミのピンバッジを買いました。(2007年7月17日)




       

『ニルスのふしぎな旅』を訳して
 ~翻訳こぼれ話~ その1

『ニルスのふしぎな旅』刊行に寄せて


 このたび、『ニルスのふしぎな旅』をようやく形にすることができました。福音館書店編集部から「『ニルス』を訳しませんか?」と声をかけていただいてから、丸8年。その間、『ニルス』だけを訳していたわけではないので、実際、この本に費やした時間は正味4年ぐらいだったかもしれませんが、やはり今は大作をやり終えたという達成感で胸がいっぱいです。


 『ニルスのふしぎな旅』がスウェーデンで最初に出版されたのは、今からちょうど100年前のことです。前半が1906年に、後半が1907年に出版されました。当時スウェーデンでは教育熱が高まり、「子どもたちがスウェーデンの地理つにいて楽しく学べる新しい本」が必要とされました。その書き手として、白羽の矢が立ったのが、すでに作家として注目されていたセルマ・ラーゲルレーヴ(1858-1940)でした。1909年にはスウェーデン人として初めて、また女性として初めてノーベル文学賞を受賞することになるセルマが、「教科書としてだけでなく、物語としても完成度の高いもの」をめざして何年もの苦労の末、まとめあげたのが、『ニルスのふしぎな旅』なのです。


 人間の手のひらほどに小さくなってしまった少年ニルスが、ガチョウの背中に乗ってスウェーデン中を旅する『ニルス』の物語には、実にさまざまな魅力があります。この「ニルスのページ」では、私が訪れたゆかりの地の写真や翻訳のこぼれ話などを、随時ご紹介していきたいと思います。


 さて、まず物語の第1章では、ニルスはトムテに意地悪をしたために魔法で小人にされてしまいますが、それはお父さんとお母さんが教会へ出かけて留守の間のできごとでした。左の写真は、ニルスの家があるとされる西ヴェンメンヘーイ丘の教会です。つまり、お父さんとお母さんがこの教会に日曜日の礼拝にきているときに、ニルスはモルテンと旅に出てしまったということになります。もちろん、ニルスは実在の人物ではありませんが、物語の舞台は現実に訪れることができます。ニルスの視点でスウェーデン各地を見てまわるのは、本当に楽しいものです。  (2007年6月13日)


*トップページのMini Galleryでも、ニルスゆかりの地の写真をご紹介しています。

       

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